はじめに
IO-Linkは、工場とプロセスのオートメーションアプリケーションにおけるマスター/センサー接続とマスター/アクチュエーター接続向けの最新のデジタル通信プロトコルです。この2地点間プロトコルを使えば、マスターデバイスを通じてセンサーとアクチュエーターを柔軟かつ簡単に設定できます。さらにプロセスデータの交換も可能です。
産業分野にIO-Linkプロトコル統合が欠かせない理由
IO-Linkの利点を活かせる主な産業として、製造業界、自動車業界、食品・飲料業界があります。長いダウンタイムや頻繁な点間を経験している業界がIO-Linkを導入すれば、特に、ダウンタイムが短縮され、センサーやアクチュエーターに関する情報を入手できます。製造工場や生産工場がIO-Linkプロトコルを利用すれば得られる利点には次のようなものがあります。
- 診断能力:ウェブインターフェースを通じてエラーコードを表示でき、生産ライン全体を停止することなくトラブルシューティングを実行できます。
- リモートアクセス能力:ユーザーはマスターやネットワークに接続して、どこからでもセンサーレベルの情報の調査や変更を実行できます。
- 自動デバイス置換:ユーザーが古いセンサーのデータを新しいセンサーにダウンロードできるようにすることで、シームレスなデバイス置換を促します。この機能により、古いセンサーの設定をすばやくインストールできるので、瞬時にラインを始動して稼働させることができます。
IO-Linkのその他の利点
- メンテナンス頻度が減り、アップタイムが長くなる
- インテリジェンスをセンサーレベルまで持ち込める
- 挿入、実行、放置が可能
- マイクロコントローラーからパラメーター設定をダウンロードできる(マニュアル不要)
- 機械の切り替えに関連するダウンタイムを発生させることなく簡単にパラメーター化できる
- 連続診断と連続監視が可能
- データロギングとエラー検出が強化される
- 堅牢なデジタル通信が可能
- バイナリーセンサーを直接アップグレードできる標準的なセンサーコネクターを使用することで、設置が簡易化されてコストが削減される
UtthungaのIO-Linkプロトコルマスタースタック
UtthungaのIO-Linkマスタースタックは、高度に最適化されたスタックであり、Cに組み込まれています。Utthungaはデスクトップベースのリファレンスコンフィギュレーターも提供しています。このエージェントとコンフィギュレーターは特注のアプリケーションに合わせてすばやくカスタマイズすることができます。
特長
- IO-Linkマスタースタックは最新の仕様に適合
- 4つのポートをサポート(ポート数はハードウェアリソースによってのみ制限される)
- 通信速度の自動検出:4.8K、38.4K、230.4Kbps
- ポートとデバイスで生成されたイベントの連続診断が可能
- レガシーデバイス(バージョン1.0)との後方互換性がある
- データリポジトリー/ストレージ機能により接続済みのIO-Linkデバイスの迅速なバックアップ/復元が可能
- スタック内にあるアプリケーションによりゲートウェイアプリケーションからのサービスコールが効果的にルーティングされ、通信リクエストが処理される
- きちんと階層化されたアーキテクチャで移植とメンテナンスが簡単
利点
- 製品化までの時間が短縮される
- 強固な品質
- 構造化されたANSI C コード – 他のプラットフォームに簡単に移植でき、さまざまな開発環境で使用できる
- コード設計とドキュメンテーション
- 柔軟性に優れたライセンシングモデル
- サンプルデモアプリケーション
技術仕様
- IO-Linkマスタースタックは最新のIO-Link通信仕様に適合
- 制御・テスト用APIドキュメンテーション
- 4つのポートをサポート(ポート数はハードウェアリソースに基づく)
- フットプリント:Flash~40kBスタック
- システムロード上限:20MHz/ポート(COM3-スピード)
伝送速度
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サイクルタイム
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230.4 kbits/s
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0.4 ms
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38.4 kbits/s
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2.3 ms
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4.8 kbits/s
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18 ms
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- サポートされている開発用プラットフォーム:Keil、IAR、GCC
- レガシーデバイスのサポート
- バッチ読み取りとバッチ書き込みのサポート
- 異なるマイクロコントローラーとIO-Link PHYのサポートにはドライバーの交換のみが必要。
UtthungaによるIO-Linkファームウェア開発とIO-Linkマスターの実装の支援
Utthungaは次のような組み込み型のIO-Link開発サービスを提供しています。
- デバイスへのIO-Linkマスターの実装
- IODD解釈機能によるIO-Linkマスターコンフィギュレーターの実装
- さまざまなプラットフォームへのサードパーティスタックの移植
- IO-Linkネットワークとクラウド統合のためのゲートウェイ
- OPCゲートウェイへのIO-Link
- エンドツーエンドの製品開発と検証のサポート
よくある質問
IO-Linkは主に、自動化された生産現場において企業が使用しているセンサーとアクチュエーターを連結するために使用します。IO-Linkマスター-スレーブシステムでは、2地点間通信スタックを使用してコントローラーレベル(IO-Linkマスタースタック)をセンサーとアクチュエーター(IO-Linkスレーブスタック)に接続します。
IO-Linkは、シリアルテレグラムとして送出されるデジタルスイッチ信号の3コンダクター接続のように機能します。これにより、I/Oレベルとフィールド機器間のシリアルプロトコルとして追加情報のやり取りが促進されます。
IO-Linkにより最低フィールドレベルでの通信におけるギャップが埋まります。これで、可能な限り低いセンサー/アクチュエーターレベルでの設備・機器の検証が可能になり、既存のインターフェースのばらつきが最小限に抑えられます。
IO-Linkプロトコルの主な利点として、配線の標準化、デバイス置換の簡易化、リモートでの設定・監視、診断の高度化、データ可用性の向上があります。